私が初めて馬油(ばあゆ)という活字を見たのは、もう十年以上も前のことで、当時は「うまあぶら」と間違えて読んでいました。
月日は流れ、そして今年の夏前、私は偶然にも、「馬油はスキンケア効果がとても高く、美肌効果はもちろんシミやソバカス、吹き出物やニキビ、さらには鳥肌やサメ肌、象皮肌も綺麗に改善する効果まである」という記述を見つけました。
馬の油を顔に塗ったら美肌効果がすごいって何?馬の脂肪なんて臭いんじゃないの?ベタベタでテカテカになっているだけじゃないの?
私には、動物の油、つまり動物の脂身を顔に塗るなんて、いろんな意味であり得ないと感じましたし、そんな原始的なものが現在の化粧品や医薬品に勝てるはずはないと思ったのが正直な気持ちです。
しかし、なんでも徹底的に調べないと気が済まない性格なので、馬油の事も調べていくと、出るわ出るわ、歴史から効果効能の、え!?っと驚く馬油の衝撃的な事実!
馬油という名称について
はじめに、これからの説明に誤解が無いよう、馬油という名称についてご説明しておきます。
馬肉の脂肪に効能があることは、古くは中国では5~6世紀頃から、日本でも奈良時代頃から知られていたようで、一説によると香具師(やし)が口上を並べて売っていた「ガマの油」と呼ばれていたとも言われます。
登録商標第2712496号「ばぁゆ馬油」で、馬から採った脂、馬脂を指定商品にしています。
「ガマの油」は、実は馬油のことだった、という研究発表をしたのも直江昶さんです。
よって、この記事でいう「馬油」とは直江昶さんが研究開発し(有)筑紫野物産研究所が製造販売(後世でソンバーユ㈱が製造し薬師堂が販売)するものに限って記述しています。
馬の油の歴史
馬の油を人体に活用するルーツは中国だと言われています。
日本で馬油を初めて研究した直江昶さんによると、5~6世紀頃の中国の書物には「馬の油は髪を生ず」と書かれており、また16世紀頃の中国の医師、李時珍が著した薬物学書『本草綱目』において、「シミ・ソバカスの除去、肌荒れ治療、筋肉痙攣の緩和」などの馬の油の効果が記述されています。
これらのことから、5~6世紀頃の中国では、騎馬民族を中心として馬の油が薬用として使われていたものと推測されています。
では、日本で馬の油が薬用として使われはじめたのはいつ頃からだったのか?
残念ながらそれを伝える明確な文献は見つからないようです。
奈良時代に日本を訪れた唐の名僧「鑑真和尚」の一行が薩摩に上陸後、奈良の都に向かう途中、九州の大宰府などから馬の油の効用を伝授していったと、語り継がれているようです。
昔から馬肉を食べる文化がある大宰府・筑紫野地方では、「火傷や怪我には馬の油が一番効く」と、言われ続けてきたのは、鑑真和尚に馬の油の効果効能を教えてもらったからなのでしょう。
馬油の研究とソンバーユの誕生
もう70年ほど前のこと、第二次世界大戦が終った頃から直江昶さんは馬油の研究を始めたと言います。
重症のやけどが馬の脂身のおかげでケロイドにもならず完治したことをきっかけに、直江昶さんは、日本ではほとんど知られていなかった馬の油の効果効能を研究し続け、昭和46年に先述の筑紫野物産研究所を設立、以来、馬の脂肪を精製したものを「馬油」という商品名で「食用油」として製造販売してきました。
しかし食用油として馬油を製造販売しても、馬油の優れた効果効能を日本中の人に知ってもらうことは難しいため、皮膚保護用と明記して「馬油」を売り出すために、直江昶さんは会社設立以前からの馬油の研究を続けられました。
そして、直江昶さんは中国でも知られていなかったような馬油の効果効能も数多く発見し、また、馬肉の脂肪から馬油を精製する工程を確立したことで、馬油独特の油臭を除去することにも日本で初めて成功しました。
馬油独特の油臭を除去することが出来たため、品質が飛躍的に向上した筑紫野物産の馬油は、昭和63年についに「馬油は人間の皮膚を保護する油である」と認められ、日本で初めてスキンケア化粧品の成分(原料)として厚生省から正式に許可されました。
しかし、化粧品と食品の製造業を兼業することは出来ないと厚生省から指摘を受け、やむを得ず化粧品を製造するソンバーユ株式会社と販売窓口となる株式会社薬師堂が新たに設立されました。
また、化粧品には、食用油として長年使ってきた「馬油」という商品名は使えないと厚生省から指摘を受け、これまで販売してきた馬油に新たに「ソンバーユ(尊馬油)」と名前をつけて、馬油100%のスキンケア化粧品が日本ではじめて発売開始されました。
それから13年後の平成12年に世界の化粧品原料規格を統括するアメリカのCTFAに世界共通の化粧品原料としてソンバーユを申請し、翌年の平成13年、International Cosmetic IngredientDictionaryに掲載され、直江昶さんが作った馬油がはじめて世界でも化粧品原料として認められました。
現在はアメリカやイタリア、中国、韓国、台湾などでもソンバーユは愛用されているようです。
「皮膚の化膿を防止する外用薬」として特許も取得
「皮膚の化膿を防止する外用薬」の特許を、発明者は直江昶さん、ソンバーユ株式会社を権利者として取得されています。
この特許は、馬脂を加熱溶解して固形の混じり物を除去して、さらに湯洗または蒸溜して不ケン化物を除去した油脂を有効成分とする皮膚の化膿を防止する外用剤です。
特許の内容には「火傷や外傷の修復に効果がある」とされています。
不飽和脂肪酸特有の高い浸透率で皮膚内部に浸透し、体温で液化するため、皮膚の自己快癒力を促し、皮膚組織の活性化で、やけどのケロイドもなく元の皮膚と同じ様になるといわれています。
ガマの油は「我が馬の油」だった説
直江昶さんは、香具師(やし)が刀で自分の腕を切り、血が流れる傷口にガマの油を塗り拭き取れば血が止まり傷が消える芸を見せながら、四六のガマの油として売り歩かれていたものは、武士が自分の馬から作った「我が馬の油」、「馬油」だったと発表されました。
ガマの油は刀傷の絶えない武士の必需品として実在し、昔から貴重な存在だったことは知られていますが、しかしヒキガエルの油で傷薬が作られていた事実は日本中どこを探してもなく、流通量から見ても、四六のガマ油ではなく馬油だったのではないかと直江昶さんは推測しています。
馬油とはソンバーユで薬師堂が販売窓口
私が今回馬油を調べる際にAmazonで馬油を購入するために初めて馬油を探したときには、多数のメーカーから様々な馬油とされる商品が見つかりました。
そのなかで、どれを購入するか見ていると、なんともレトロなパッケージのソンバーユがあり、ソンバーユ(尊馬油)という中国製品のようなネーミングや薬師堂という聞いたこともない正規販売店に戸惑いましたが、結局は大量の購入者レビューと、そのレビューのほとんどが感謝の言葉だった薬師堂の馬油、ソンバーユを購入しました。
以降、ソンバーユの製造工場から製造方法を盗み出すなどして模造する業者が多く現れました。
が、模造業者は独自の研究はせず効能説明文までソンバーユを模造し、○○配合とか金箔入りなどをうたい、高額な商品にしたり、馬油の有効成分が損なわれてしまうような加工精製をしたり、他の脂肪を混ぜてクリーム状にしたり、石油系の固形剤(パラフィン等)を混ぜたりする、とんでもない模造者もいるので注意するよう、馬油の元祖である直江昶さんは述べられています。
成分を調整しているものは馬油とは違うもの
ソンバーユ製品に使用している「馬油」はすべて成分無調整です。成分無調整とは、原料の馬の脂肪から純粋な馬油を抽出した後に、一切化学的な加工をしていないということ。
最近では「馬油(弊社の登録商標なのですが)」が周知されたのはよかったのですが、「部分水素添加馬油」など馬油を加工した類似成分と間違われるケースを見かけるようになりました。
「部分水素添加馬油」という成分は、馬油に水素を添加して純馬油本来の脂肪酸組成を組替え、性質を安定化させた成分です。つまり、「馬油」と「部分水素添加馬油」はまったく違う成分です。
馬油と梅雲丹の薬師堂より引用
ドラッグストアなどには、このような元祖馬油であるソンバーユの類似品も並んでいますが、今でも一番信頼できる馬の油はソンバーユだと私は思っていますし、私は馬油を詳しく調べたからこそソンバーユの美肌効果や火傷、怪我の治療効果、そして体の様々な症状を改善する医学的な効果を疑う余地はありません。