自動車ガラス用のスモークフィルムは可視光線90%カット以上のものを貼り付けると肉眼では車内の様子はほとんど見えなくなってしまいます。
なんとなく断熱効果もありそうに思えます。
しかし一部の製品を除いて可視光線と紫外線しかカットしていないため、赤外線は大半が透過しているのです。
赤外線が透過するということは、熱も伝わり、断熱効果がないということです。
スモークフィルムを重ね張りした車内をビデオカメラで赤外線撮影で検証してみました。
スモークフィルムの赤外線透過映像
さすがに真っ黒なスモークフィルムですね。
肉眼では車内はほとんど見えません。このスモークフィルムが透けて、車内の様子が見えるのでしょうか。
ちなみに手前(運転席側)のガラスにはスモークフィルムを2枚重ねて、奥のガラス(助手席側)にはスモークフィルムを1枚の計3枚が、この車のクォータガラスに貼ってあります。
ビデオカメラのCCDの赤外線カットフィルターを取り外して撮影した画像です。
赤外線カットフィルターが外れたのでスモークフィルムを透過してきた赤外線がCCDに届き、CCDが反応するようになり可視光線と赤外線が混在した映像になりました。
赤外線により車内が透けて見えるのが分かります。画像が赤っぽいのは赤外線の影響です。
このような映像にならないように通常は赤外線カットフィルターがCCDの手前に取り付けてあるのです。
さらに赤外線しか通さない赤外線フィルターをビデオカメラに取り付けて撮影してみました。
ビデオカメラは赤外線カットフィルターを取り除いた改造品を使用しています。
赤外線フィルターによって可視光線を完全にカットし、赤外線だけがビデオカメラのCCDに届くようになりました。
スモークフィルムを透過しない(黒く見える)邪魔な可視光線情報がないので非常にクリアに車内が透けて見えます。
奥の助手席側の景色も明瞭に見えますので3枚のスモークフィルムを赤外線が透過している事になります。
暑い夏にはフィルムを貼った涼しい車内から、人目を気にせずに赤外線撮影が出来ますし、外から見えないと思っていろいろな事をしている人達も観察出来ますね。
検証結果
スモークフィルムは可視光線の透過率を激減させるだけで、赤外線はほとんど遮断出来ません。
よって赤外線を使った盗撮を防ぐことは出来ません。
そして、赤外線は熱を伝えるため、赤外線をカット出来ないと断熱効果もありません。
真っ黒なスモークフィルムを3枚重ねて車のガラスに貼っても赤外線は遮断できず、赤外線をカットしないかぎり車内のプライバシーは守られないのです。
厚さ3mmもある真っ黒なプラ板さえ、赤外線で撮影すると透明なガラスになってしまいます。
赤外線による盗撮も防ぎ、断熱効果を求めるならプライバシーガラスを採用している車に乗りましょう。
この記事の赤外線透視撮影の画像について
赤外線をカットする物理フィルターを取り外し、赤外線しか通さない赤外線フィルターを取り付けた、改造ビデオカメラの撮影映像をキャプチャーしたものです。
一般的なビデオカメラは、赤外線を遮断して可視光線しか取り込まない構造になっているので、市販の赤外線フィルターを取り付けるだけでは赤外線透視撮影は不可能です。
「スマホ等のカメラレンズに貼るだけで透撮できる」などとうたう怪しい商品には手を出さないのが賢明です。