みなさんもなんとなくは想像できるはずですが、赤外線映像はモノクロです。
グリーンに見える映像は電気的に色つけて補正しているからで、その処理をキャンセルするとモノクロ映像になります。
ビデオカメラでは赤外線があれば明るく、無ければ暗い映像になる事からもお分かりいただけるように、ある物質に赤外線を反射する部分と吸収する部分、あるいは多く反射する部分と少なく反射する部分があるのでCCDはその赤外線情報を元に私たちに理解出来るように表示してくれるのです。
もし太陽に照らされる物すべてが同じように赤外線を反射するならば、CCDを通してモニタに映し出される映像はどんなにビデオカメラのアイリスを絞っても、またフィルターを取り替えたとしても何も写っていないことと同じになってしまいます。
誤解しないでほしいのですが、赤外線には色がないというのはあくまで人間の目が赤外線に反応しないということです。
赤外線に反応する目を持つ生き物は人間とはまったく違う色合いとしてすべての物質を認識していることになります。
話を元に戻しますが、可視光線下ではどうでしょうか?
当然のように色があり私たちの目にも鮮やかに写ります。
私は今まで「イチゴがなぜ赤いか?」なんて考えもしませんでした。
でも、赤外線映像に興味を持つにつれ、その理由を当たり前だけでは済まされなくなってしまいました。
以下がその理由です。
なぜ赤い色や黒い色の物があるのか
可視光線は七色です。(電磁波の中で、人の目に見える可視光線域は380nm~770nm程度。その範囲を赤橙黄緑青藍紫に分けて考えます。)
しかし空色、水色という言葉があっても、空や水に青色の色素があるわけではありません。
では、黒い鉛筆の芯は、黒色の色素のようなものをもつのでしょうか?
物体のさまざまな色は、太陽光(白色光)からの引き算の結果として現れます。
たとえば青色の波長が吸収された場合は、その補色である黄色に見え、逆に黄色が吸収されると青色に見えます。
白色光のもとで物体が固有の色をもつかのように見えるのは、物体が特定の波長の光を選択吸収し、人間はその補色を目にしているからです。
ですから鉛筆の芯はその素材がすべての色を吸収するために黒く見え、白いブラウスは素材が全ての色を吸収しない(反射する)ために白く見えるのです。
もっと簡単に言うならば、イチゴは太陽光に含まれる、人間にとって赤く見える光だけを反射するので赤く見えると言ってよいでしょう。
ご理解いただけるでしょうか、赤いイチゴではなく、「赤く見える」イチゴなのです。
なぜガラスは透明に見えるのか
ではなぜガラスは透明に見えるのでしょうか。
ガラスに似た透明感は、宝石や空や水にも特徴的なものです。
たとえば水晶は酸化ケイ素(SiO 2 )が整然たる三次元構造を組んだ結晶です。
この結晶には可視光の範囲で光の吸収原因となる物質がないために、光は素通り(透過)して無色透明に見えるのです。
つまり光が素通りすれば物がないのと同じです。
以上が太陽光線と人間の目に見える色との関係です。
このことは赤外線を考えるうえで基本となる内容ですので皆さん十分理解しておいてください。