動翼の補強例
私がエクストリーム仕様としてアウトドアで使っているEPP機は、エルロンは3mm30倍EPPで裏表をPPテープで補強、後縁をカーボンシートで縁取りしています。普通は5mmEPPのPPテープ補強ですが、どんなに真っ直ぐに作っても、しばらく飛ばしているとグネっとねじれてきます。
フィッシュボーン方式などいろいろ試しましたが、軽量高強度には出来ませんでした。最終的に上記の方法を考案しましたが、これはとても軽く、強度も抜群、いつまでもビシっと真っ直ぐになっていますし、翼端から墜落してもエルロンがグネっとなる事もありません。
ラダーは4mm30倍EPPを使用し裏表PPテープ補強、ラダー後縁をエルロンと同じくカーボンシートで補強し、カウンター部分と前縁付近にカーボンシートを差し込んでいます。標準ではラダーもしばらく飛ばすとグネグネして気持ち悪くなります。軽量高剛性の後縁カーボン補強をおススメいたします。
エレベーターも4mm30倍EPPを使用しますが、後縁のカーボン補強はしていません。前縁付近と左右接合付近から後ろに向けてカーボンシートを差し込んでいますが、リンケージホーンがある方を短く、無い方を長く補強することによって左右同じ効きを確保、高速上昇時に一方向へねじれる事を防いでいます。
動翼の接合例
いずれも主翼、尾翼への取付けはテープをクロスにして貼り付ける方法ではなく、各翼と動翼を一方向にカットしてグラステープをベタ貼りしています。基本的にグラステープは上面だけ貼り付ければ大丈夫ですが、リンケージホーンの周辺や両端は下面にもグラステープを貼るとよいでしょう。このほうがかなりシッカリして操舵の応答が良くなりますし、グラステープによる補強効果もあり、各翼の剛性もあがります。メンテナンスも簡単ですし、一度やるとチマチマしたクロステープ方式には戻れませんよ。
エクストリーム仕様の主翼とは
私がエクストリーム仕様としてアウトドアで使っているEPP機の主翼は、自作リブ組の主翼です。なぜ自作したかといいますと、EPP機キットの主翼は中身が詰まっているので重い、そして強度がないからです。またパイロン機のようにスピードを出したいので主翼を薄くしたかった、というのが主な理由です。多くのキットの主翼は熱線カットで重く、スライスしたEPPで自作すると10グラムほど軽く出来ます。
強度の問題ですが、標準ではPPパイプを主翼の裏表に埋め込んで接着しますが、これではスロットル全開で降下してパニックに入れた瞬間、一発で折れます。カーボンパイプに替えても折れますし、一方向カーボンシートを貼り付けても折れます。これだけやっても折れるのは構造や主翼自体の重量が影響しているのだと思います。中身が詰まっているから強度がある、という感覚があるのですが、実際にはそんな事はないように感じます。
事実5mm45倍EPPでリブとスパーを作り、3mm30倍EPPでプランクし、左右を張り合わせてカーボンシートを裏表面に貼り付けた主翼は簡単に折れなくなりました。また標準よりも4mm薄くなった主翼はスピードの乗りも抜群で別名パイロンファンフライ機ともいえるスピード機になり、また軽量化により急停止も楽になりました。これにより急加速、急停止が必要なエクストリーム系フライトに大きく貢献しているのです。
こう書けば良い事ばかりですが、皆様にはおススメできません。なぜか?製作が非常に難しいのです。私が飛ばしている機体の主翼は、機体上から見ると翼端に向かい細くなります。この形を左右ねじれず作るだけでも難しいですが、主翼の厚みも翼端に向け薄くなっていきます。
EPP機の代表作サザンクロスなどは同じ形、同じ薄さの主翼なので製作は簡単ですが、私が飛ばしている機体の主翼は、本来が熱線切り出しの為、複雑な形で、これを薄いEPP材でリブ組フルプランクするのは熟練した人でないと絶対に無理で、私も2回失敗しました。リブの形を作るのも上記のように全て形が違うので大変、プランクするのも翼前縁が薄く急角度で折り返すのでリブをつぶさないようにするのが大変、無事プランクしてからも治具を製作使用して、ねじれないよう固定するのが大変です。しかし運良くうまく作れると、軽量で高剛性、すばらしい性能を発揮しますので、腕に自信がある人は挑戦してください。
ちなみに私は熱線切り出しの主翼を輪切りにしてリブの原型をとり、プランク材の厚み分+α薄く作りました。リブの位置はほぼ適当ですが、中心から2番目のリブは胴枠の位置(胴体と主翼を接着する位置)に必ずもってきます。それにより主翼の耐久性がかなり向上します。ここにリブが入っていないキットがありますが、胴体接合付近からすぐに裂けてきます。
主翼内にLiPoバッテリーを収納する方法
主翼を自作し、かなり強度アップが出来た為、主翼に穴を開け、そこにLiPoバッテリーを搭載することにより完全にスラストラインとLiPoバッテリーの位置を合わせ、またLiPoバッテリーの固定にマジックテープを使わず、機体と接する部分を最小限にして冷却効率の向上を図っています。
機体上面です。3点のEPPスペーサーと梱包テープでLiPoバッテリーを固定します。
機体下面。梱包テープの長さを調整してLiPoバッテリーの中心とスラストラインを合わせます。梱包テープは主翼上面と穴の側面に貼り付け、下に垂らしているだけです。が、そのままだと下に垂れた部分のノリ面が機体の他の部分に引っ付き面倒なので、もう一枚の梱包テープとノリ面同士を貼り合わせ処理しています。
バッテリー固定は押し込むだけでOK
LiPoバッテリーを取り付ける時は、梱包テープが張りそれ以上入らないところまで押し込むだけです。LiPoバッテリーがすっぽ抜けそうなもんですが、意外とこの取り付け方法でも抜けません。LiPoバッテリーを差し込むときに抵抗無く入るようだと当然抜けるでしょうが、ギューっと突っ込む感じのクリアランスであれば大丈夫です。長く飛ばしていると少しずつEPPのスペーサーがへたってくるのは事実ですが、そのときはLiPoバッテリーにテープを巻いてクリアランスを調整しております。
正面、背面のくせが少なくなった
マジックテープでLiPoバッテリーを主翼上面に固定していた頃は、飛ばしている最中にLiPoバッテリーが外れて移動し重心が狂ったり、ロールした時に機体からLiPoバッテリーが飛び出したりしましたが、この方法にしてからはLiPoバッテリーの取り付けに気を使う事がなくなりました。上下の重心にも差が無いために正面、背面の妙なクセも出ません。
LiPoバッテリー冷却効果もUP
なるべくLiPoバッテリーに風が通るように考えましたので、マジックテープのベタ張りよりはLiPoバッテリーに優しいのではないかと思います。(写真のLiPoバッテリーはこの搭載方法で200回以上使用していますが、今だ飛行時間も衰えることなく現役です)
この位置に穴を開けてもリブ、スパー材があるならば強度は落ちませんので、そのようなキットや自作機には応用できるはずですから、究極を追い求める高速アクロフライヤーは是非一度お試し下さい。
EPP機の胴体について
胴体は4mm30倍EPPを使ってオリジナルを元に切り出しています。機首のコの字部分は墜落した時に裂けやすく、空力的に影響がない為、カットしています。ナイフエッジの浮きなどに影響が出るかと心配しましたが、全く問題ありません。機体重量が一番悪影響を及ぼします。
胴体内部には標準と同じ位置に5mm45倍EPPを取り付けています。内側をグラステープで補強はしていません。しばらくすると剥がれていますが、いちいち胴体を切開して張り直すことはしませんので、初めから張りません。
とにかく軽く作ることだけを意識し、外れても良いので接着剤を最小限に使うことが肝心です。軽ければ強度が上がり、剛性も上がります。重い補強は剛性を下げ、結果的に機体全体の強度も低下させます。胴体接着後にグラステープをぐるっと周囲に貼っている機体がありますが、あれも汚いだけで無意味です。
最近はカーボンシートを使って胴体を補強しアウトドア仕様としているようですが、軽量でバランス良く作れば簡単な補強で十分に強度が出ます。
LiPoバッテリーの冷却方法
他の改造点はLiPoバッテリーが主翼を貫通して取り付けとなる為、バッテリーの取り付け位置後方の胴体上下にリポバッテリー冷却用のエアダクトを切り込んでいます。
胴体上下共にダクト末端の胴体内部に隔壁を設けてリポバッテリーの冷却効率アップを狙っています。
ラダーサーボのギヤ欠け予防
サーボにGWSの060あたりを使っているとバキバキと次々にギヤが欠けて困ってる!とお嘆きの方が少なくないと思います。そんな場合に効果アリのラダーガードです。
以前にも書きましたが、私の場合ラダーのサーボが特にギヤ欠けをしておりました。ピアノ線をZ型に曲げてスプリングにしているにもかかわらずです。
さすがに10数回ギヤ交換&サーボ交換をしてるうちに「このままじゃダメだ」とようやく対策を考えるようになりました。そして分かってきたことは…
Z型リンケージは伸びない
Z型のスプリング効果を狙ったリンケージは、ラダー側から押されるときには多少チカラを吸収するが、引っ張られる場合はほとんど伸びない(伸びるほど大きなZ型にすると舵の効きが悪くなる)ということです。
私の場合、何かに激突してラダーから落ちる時によくギヤ欠けするのですが、それ以外でも飛行中に低空でラダーを地面にこすった時にもギヤ欠けをするのです。
引っ張られる衝撃でギヤ欠けしている
これは明らかに引っ張られる衝撃でギヤが欠けているワケであり、他の動翼のギヤがZ型ではないストレートのリンケージにもかかわらず、ほとんどギヤ欠けしないのは、引っ張られる作用点からホーンの位置が遠い為、あまり衝撃が伝わらないからだと推測できます。
私の場合、ラダーのホーンは地面に最も近い下側に取り付けてあり、エレベーターとエルロンは機体中心に近い場所にホーンがあります。
よって根本的なギヤ欠け対策としてはラダーのホーンを機体の中心部分に設置することが一番なのですが、ラダーが地面とこすれてドンドン削れていく対策を兼ねて1.8mmのカーボンロッドをラダーよりも若干長く取り付けてラダーガードとしたのです。
ラダーガードが効果抜群
このラダーガードの効果は思ったよりもあり、取り付けて以来一度しかギヤ欠けしていません。
ラダーガードを取り付けてからは飛行中ラダーを激しくこするような状況でもカーボンロッドがしっかりラダーを守っており、ようやくラダーの小型化に歯止めがかかりました。
私と同じようにラダーサーボのギヤ欠けにお困りでしたら一度お試し下さい。
動翼のペーパーヒンジ固定はNG
余談ですが、動翼のヒンジがグラステープだから引っ張られた時に伸びてしまうのを嫌ってバルサ機のようにペーパーヒンジを差し込むのはやめたほうが無難です。
私はやりましたが、確かに取り付けるとビシッとして気持ちいいのですが、激しく引っ張られると接着剤が染みこんでいる部分のEPP材もろともちぎれてしまい、後で修復するのが大変です。
結局私は全てのペーパーヒンジをやめてグラステープのヒンジに戻しました。グラステープを貼り付ける部分にあらかじめ3Mのプラ用ボンドを塗っておくとかなりしっかりと張り付きます。
W084ハイトルクサーボもNG
またGWSの小型サーボにはW084というハイトルクのサーボもありますが、これはお薦めしません。
動作スピードはカタログ表記よりも明らかに遅く、左右の動作角度もW060よりも少ない為、大舵角を得る事が困難です。
お薦めはベアリング付きのW060BBです。