この記事は、250ccのスクーター乗りが浮気心で250ccネイキッドに乗り換えて大後悔して、自分はもう250ccのスクーターしか乗れない人間なんだと思い知った顛末を書いているだけで、特に有用な情報はありません。
私は250ccのスクーター、マジェスティ250(SG03J)を愛用している。
車を公道で運転することに嫌気がさしたので、自分一人の移動手段として、極寒でも大雨でも躊躇なくバイクを使用する。
つまり、趣味ではなく業務(移動手段)としてバイクに乗っており、私が最低限に求めるものを全て満たしているマジェスティ250を使い続けている。
10代の頃は2st250ccのバイクでレースに参加しており、バイクで他人と競い合うことに熱中していた。
しかし、事故を起こし入院して以来、だんだんとバイクから離れて、20代はFRの車で他人と競うことに全財産を突っ込むようになった。
そして子供が生まれ、車は競うものから移動手段になったが、移動手段として車を使うことは退屈で苦痛でしかなく、再びバイクに乗るようになった経緯がある。
私がバイクに最低限求めるもの
バイクに乗ることを趣味にしているライダーと、業務(単なる移動手段)としてバイクを使っている私では、バイクに対する熱意や求めることが大きく異なる。
デザインや開発コンセプト、希少性などに惚れ込んだバイクに乗る楽しみ、が私は全くない。
何十万円、何百万円もするバイクを所有しているライダーは羨ましい。
しかし、それは何億円の豪邸に住んでいるとか、何千万円の車に乗っていることを羨ましく思うのと同じで、どうしても所有したい憧れのバイクはない。
おっさんだけど金に物を言わせて目立つバイクに乗って女子ライダーにアピールしたい、という欲もない。
単なる移動手段として車に代えてバイクに乗る私がバイクに求めるものは次の通り。
- 多少の雨風と寒さをしのげるスクリーンやフロントカウルが必須
- シート下の大容量収納スペースが必須
- 防寒用ハンドルカバー装着しても当たり前に見えること
- あらゆる部品が中華、純正中古、純正新品で簡単に調達可能
- トラブル対応情報が豊富に公開されていること
- 真冬でも1発始動して走行中不意にエンストしないこと
- 高回転域まで静粛でエンジン振動のない快適な乗り心地
- 大雨の長距離でも安心して走行できるタフな電気系統
- 大雨でもフーリングの変化しないブレーキ性能
これら求めるものを、所有するマジェスティ250(SG03J)は全て満たし続けており、何十万円を使って乗り換えるべき理由が見つからない。
そう思いながらも道ですれ違うライダーやSNSでバイク自慢しているライダーを見ると、バイクが趣味に出来たら楽しいんだろうなぁと漠然とは思っていた。
業務から趣味へ
このような可もなく不可もないバイクライフを送っていたところ、お節介な悪友が「借金のカタに引っ張ってきたYBR250の距離浅、自賠2年付きで5万円でエエよ」と囁く。
YBRなんて聞いたことないので、調べてみたら重慶(中国)ヤマハが作ってYSPが輸入した、ヤマハのネイキッドタイプのバイク
中国製なんてパーツどころかパーツリストさえ入手できんやろ、と相手にしなかった。
が、実物を見ると全体的にキレイで250ccらしいデザインも気に入り、エンジン一発始動で近所を試乗した感じも悪くない。
自賠抜きなら実質4万円という値段も魅力
2日くらい悩みに悩んだ結果
- 10,000kmしか走行してないのでしばらくは壊れないだろう
- 4万円なら壊れて修理できないときは捨てればよい
- スクーターに比べると曲がりやすいし操る楽しみがある
- 燃費が30km/l以上確実で経済的
- なんとなく若い頃の血が騒ぐ
- インジェクションなのでしばらく放置も可能だろう
ってことで、重慶ヤマハのYBR250を衝動買いしてしまった。
引き取りに行く前夜は、久しぶりにワクワクした。
YBR250に乗ってみて(インプレ)
引き取りに行き、そのまま80kmほど乗ってみた感想は次のとおり
マジェスティ250と同じ単気筒だが、振動がエグい
5000回転まではまだ我慢できるがそれ以上は激しい振動で気持ちが滅入る。
振動からすると100km/hオーバーしていると感じるが、実際には80km/h程度、つまり我慢できるスピードは80km/hが限界で、それ以上のスピードを出すことは想定されていないバイク
全身が強烈に冷える
ネイキッドタイプなので当たり前だが、全身が強烈に冷える。
スクリーンもカウルもないので頭、手指、足先まで容赦なく冷やされる。
マジェスティ250と同じ服装で乗ったが、冬にバイクに乗るとは、こんなにもつらいことなのかと思った。
風圧に疲れる
うぉー!中速からでも凄まじい加速だ!!
と思ったら、風圧で体が後ろに持っていかれるだけで、加速がスゴイわけではなく、これも体感100km/hオーバーでも80km/hくらいしか出ていない。
とにかくうるさい
5000回転以上になると振動がひどくメカノイズもひどく、80km/h以上になると風切り音も激しくうるさくて、インカムで会話するのが困難なレベル
不意にエンストする
80km/h以上で走行後、ギヤを落としていき停車寸前にクラッチを切るとエンストする。
エンスト後でもすぐにエンジン始動するがFI車が不意にエンストするのは何かが壊れているとしか思えない。
5000回転以上でエンジン異音
アイドリングはエンジンノイズなく静粛であるが、5000回転以上回すとエンジンからガチャガチャと異音が出る。
カムチェーンテンショナーの故障が疑われるが、新品も中古も国内では見つからない。
積載能力0
これも当たり前だが、セカンドバッグすら収納するスペースはない。
スクーター以外でキャリアを付けたりケースを載せるのはカッコ悪くて、収納力を求めるならスクーターで良い、という思考回路になる。
大雨が降りそうな時でもバイクに乗るということはカッパも常備品であり、カッパやセカンドバックを入れたリュックを背負ってYBR250に乗ったが、これは毎回は嫌だと思った。
操縦が楽しくない
停車してニュートラル探すのが面倒くさい。クラッチミートするのが面倒くさい。シフトアップ、ダウンするのが面倒くさい。
最高速も加速感もマジェスティ250と大差ないのに、いちいち操作が面倒くさい。
というか、操作しないと普通に走れないことが面倒くさい。
そりゃ中華4st250ccじゃ面倒くさいだけで楽しさなんて求めるのがおかしい、という意見もあるだろうが、とにかく若い頃に乗ってたバイクには感じたことがない面倒くささが嫌になった。
結果80km走行して返品した
寒いとか振動がすごいとか操作が面倒くさいとか収納力0とかは、当たり前のことなので、それは妥協するしかないと思っていた。
が、5000回転以上のエンジンノイズと不意のエンストは、パーツが流通しておらず修理に相当のエネルギーが必要であるため、売主の悪友もあっさり返品に応じてくれた。
デザインは嫌いじゃなくて、外装もキレイだったので不満はあっても乗るつもりだったが、壊れて不調な中古外車は私には維持するのが困難なので諦めた。
マジェスティ250のスゴイところ
YBR250にちょこっと浮気してマジェスティ250(SG03J)の凄さを思い知らされた。
- 20年以上の前のバイクでも当時バカ売れしたために現在もパーツ供給に全く問題ない。
- YBR250と比べるとまるでモーター駆動のように滑らかに無振動で8000回転まで回る単気筒エンジン(マウント)
- 100km/hを超えても風圧や大きな風切り音を感じないベンチレーター付きスクリーン
- フルフェイスヘルメット2個+αの大容量のシート下収納があるのに車体はコンパクトで乾燥重量はわずか150㎏台
- いろいろ壊れるが、壊れそうな箇所しか壊れない安心感
- 真冬でもネイキッドバイクに比べたら暖房装備ですか?ってくらい寒さがマシ
バイクを趣味にするのは難しい
バイクを移動手段とすることは出来ても、バイクを趣味とするのは難しいことを痛感した。
バイクが趣味です。と言えるためには、所有する満足感や優越感、思い通りに操れる走行性能など、妥協できない部分が多くある。
移動手段に特化したバイクは安価で流通しているが、趣味と言えるバイクは高価で簡単には所有できず、私のように妥協して安いネイキッドに乗ったところで満足できるものは何もなく、故障を恐れながら我慢して嫌々乗るしかない。
100万円、200万円のバイクでも、その気になれば購入できるが、趣味として長く楽しむ自信がないのに簡単に手が出せる金額ではない。
そんな私には今の相棒であるマジェスティ250がお似合いで、マジェスティ250を所有してしまったせいで、マジェスティ250のスゴイところを超えるバイクが見当たらなくて、マジェスティ250すら乗り換えられない私がバイクを趣味にするのは難しいと痛感したことをダラダラと書かせてもらいました。