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マジェスティ250 2型のエンジンのカチカチ音はカムチェーンの伸びが原因だった

車・バイク

マジェスティ250 2型、2002年モデルのSG03J、走行距離33,000キロのマフラーから白煙がモウモウと噴き出るトラブルで、中古エンジン本体を載せ替え。

エンジン本体を載せ替えたのは良いが、載せ替えたエンジンのタペットクリアランスは適正なのに暖気後もエンジン本体からカチカチカチカチカチカチと嫌な音が止まらない。

こういう異音は、乗っている本人には深刻で気になる嫌で嫌でたまらない音なのに、他人にはそれほど気にならなかったりする。

ので、誰に訴えても「単気筒はそんなもんちゃう?」と軽くスルーされました。

でも、以前の白煙モウモウのヘタったエンジンですら、アイドリングでも走行中でも冷間時でも、カチカチカチカチなんていう嫌な音はせず、静かなもんだったのは私しか知らない。

機能的に理屈の分かる音はどんな音でも気にならないが、理屈の分からない不可解な音は気になって仕方ない。

「各部が馴染めば静かなエンジンになる」と自分に言い聞かせながら、しばらくは成す術なく、カチカチカチカチカチカチと耳障りな異音のするバイクに乗り続けました。

そんなある日、やっと異音の原因を見つけたのです。

カチカチカチカチとうるさい音の原因はカムチェーンだったのです。

カムチェーンテンショナーの調整範囲を超えると異音が出る

載せ替えたエンジンはヘッドを面研していると聞いていた。

ヘッドを面研するとカムチェーンのスプロケットがクランクケースに近づいて、その分だけカムチェーンが弛む。

その弛みをカムチェーンテンショナーで張って吸収出来ているうちは異音が出ない。

カムチェーンが大幅に弛み、カムチェーンテンショナーが調整範囲を超えて伸び切ってしまうと、弛んだカムチェーンが暴れてカムチェーンテンショナーを叩いてカチカチカチカチと音が出る。

まさに私が載せ替えたエンジンはこの状態でした。

カムチェーン自体が新品で延びがないなら、ヘッド面研してもテンショナーが弛みを吸収していたと思われます。

しかしマジェスティ250には、カムチェーンの強度不足によりカムチェーンがすぐに延びて異音発生や最悪は走行不能になるというメーカーの欠陥があります。

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載せ替えたエンジンはこの不具合の対策をしていないまま、カムチェーンがダルダルに延びたままになっていたのかも知れません。

では、なぜ私がエンジンを分解もせずにカムチェーンが延びきっていると判断したのか?

今、あなたの乗っているマジェスティ250のカムチェーンがどれくらい延びているのか、簡単に確認する方法をお教えしましょう。

カムチェーンテンショナーのラチェット残量で判断する

まずエンジンからカムチェーンテンショナーを取り外します。

マジェスティ250Cや2型のカムチェーンテンショナー

カムチェーンテンショナーはシリンダーの上部の見やすい位置にボルト2本で取り付けられています。

トランクを外すと簡単に見つけられる

テンショナーはガスケットを挟んで取付けられているので、取り外す時はガスケットを破らないように慎重に外します。

もしガスケットが破れたら液体ガスケットを塗って取付けましょう。

で、外したテンショナーは自動的に最も伸びた状態になります。

縮めるにはラチェットの爪を起こしてプッシュロッドを押し込む必要がありますが、伸びる方向は何もしなくても勝手に伸びます。

この、伸びたままのテンショナーを元通りシリンダーに取付けてみましょう。

テンショナーが途中で突っ張って、シリンダーにぴったりと取付け出来ない場合、カムチェーンはまだ延び切っていません。正常です。

シリンダーからテンショナーが浮いている分だけ、プッシュロッドの残量に余裕があり、カムチェーンはまだ延びても問題ないです。

テンショナーが突っ張らず、ピッタリとシリンダーに取付けることが出来る場合、残念ながらカムチェーンがダルダルに延び切って、テンショナーがカムチェーンを押さえていません。異常です。

もちろん私が載せ替えたエンジンは、飛び出したテンショナーをそのままシリンダーに取付けてみると、ぴったりと取り付けられて、テンショナーがカムチェーンに当たることない異常な状態でした。

カムチェーンテンショナーの正しい取付け方法

突っ張ってそのままでは取付けられない、正しい状態のカムチェーンテンショナーは、一旦分解してからシリンダーに取付ける必要があります。

テンショナー上部のボルトを外して取付ける

まず、テンショナー上部のボルトを緩めて外します。

そしてプッシュロッドのラチェットの爪を起こしてプッシュロッドを押し込みます。

テンショナー上部のボルトを緩めて外すと中のスプリングがフリーになるので、押し込んだプッシュロッドが飛び出ることはありません。

この状態でテンショナーをシリンダーに取付けると何も突っ張ることなくぴったりと取付ける事が出来ます。

そしてまずは2本のボルトでシリンダーにテンショナーを固定

そしてテンショナーにスプリングを入れからテンショナー上部のボルトを締めます。

このときOリングの装着を忘れないように注意しましょう。

上部のボルトを締め付けた時点で、テンショナーはカムチェーンを最適な力で押さえつけます。

カムチェーンテンショナーの点検方法

今回はカムチェーンテンショナーが正常であることを前提にお話をしました。

しかし、なかにはカムチェーンは延び切っていなくて、テンショナーが壊れてカチカチカチカチと異音が出る場合もあります。

カムチェーンテンショナーが壊れていないか、確認するのは簡単です。

まず、取り外したテンショナーのプッシュロッドは一杯まで伸びているか確認してください。

一杯まで伸びていないテンショナーは壊れています。

テンショナーが正しく伸びないので、カムチェーンの押さえが効かずカムチェーンが暴れて異音が出ます。

そして次に、一杯まで伸びているプッシュロッドを指で押し込んでみます。

もし指の力だけでプッシュロッドが縮んでしまったら、テンショナーは壊れています

テンショナーがしっかりと突っ張ってカムチェーンを押さえられず、カムチェーンが暴れて異音が出ます。

このように、カムチェーンとテンショナーの両方を疑って、確実に不具合箇所を見極めましょう。

テンショナーは新品純正パーツだと1万円以上します。

しかしオークション等では数百円という安価で売られています。

テンショナーは壊れるものは簡単に壊れますが、壊れないものは中古でもしっかりとしています。

めったに私は中古パーツをおすすめしませんが、カムチェーンテンショナーの中古なら価格面で考えても買いだと思います。

結局エンジンをオーバーホールすることになった

なんとなく話がまとまってしまった感がありますが、私の載せ替えたエンジンのカムチェーンは延び切っていて使い物になりません。

イライラするほど悩まされたカチカチカチカチカチカチな異音の原因をついに突き止めスッキリしましたが、残念ながら困難な修理を迫られます。

修理の選択肢はいくつかあります。

ひとつは現在載せているエンジンのクランクケースを割ってカムチェーンを新品に交換

もうひとつは、これまで使っていたオイル下がりの不具合のあるエンジン(カムチェーンは対策品でほぼ延びていない)に現在のエンジンからシリンダーとピストンを移植、面研したヘッドはまたカムチェーンが弛む可能性があるため使わずに、不具合のあるヘッドのステムシールを交換して使う。

面研して圧縮比をあげたヘッドはどうもメリットが分からず、カムチェーンが弛む弊害しか目立たないので使う気になれず、クランクケースを割るとなると時間がかかるので、私は後者の不具合のあるエンジンのシリンダーピストン交換、ヘッドオーバーホールの道を選びました。

いずれにしても簡単な作業ではありません。

どんどんと修理の泥沼、負のスパイラルにはまりこんでいくのです。

こんなことなら、初めから安い中華のシリンダーピストンセットを購入し、ヘッドはオーバーホールしてステムシールを交換すれば良かったと思っても後の祭り。

運が悪かったとあきらめて、作業準備をはじめました。

エンジンオーバーホールの様子はまた後日